第21章 彼女のために鞭を受ける

佑奈は取り合わず、そのまま玄関へ向かって歩き続けた。

「待ちなさい!」

有川紀子が机を叩いて立ち上がる。甲高い声が部屋を裂いた。

「羽が生えたつもり? 声明を出せって言ってるだけでしょ。なにその態度! あの人は紘樹の命の恩人なのよ。あの人がいなかったら紘樹は……そもそも紘樹がいなければ、あなたが有川家に嫁げるわけないじゃない!」

佑奈は足を止め、ゆっくり振り返った。

「命の恩人? 何度も言いました。あのとき紘樹を助けたのは私です」

「ありえない。そんなこと、もう二度と言わないで」

紀子は露骨に顔をしかめ、汚いものでも見るように睨みつけた。

「あの人には傷跡があるし、防犯カメラ...

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